水道業者による迅速な修理が終わり、トイレの床から水が引いていくのを見ると、心から安堵のため息が漏れるものです。ようやく悪夢のような時間から解放されたと感じる瞬間ですが、実はトイレの水浸しというトラブルは、水が止まれば全て解決というわけではありません。むしろ、目に見える危機が去った後にこそ、カビや悪臭、床材の腐食といった静かに進行する二次被害との戦いが始まるのです。適切なアフターケアを怠ると、住まいの健康を蝕む深刻な問題に発展しかねません。 まず何よりも優先すべきは、徹底的な乾燥です。タオルで床の表面を拭き取っただけでは、床材の下や壁の内部に浸透してしまった水分まで取り除くことはできません。ここでの中途半端な対応が、後々のトラブルの元凶となります。まずはトイレの窓を開け、換気扇を二十四時間つけっぱなしにするなど、とにかく空気の流れを絶やさないようにしましょう。さらに、扇風機で床に直接風を送ったり、除湿機を設置したりして、強制的に湿気を排出するのも非常に効果的です。乾燥には数日間、場合によっては一週間以上かかることもありますが、焦らずじっくりと時間をかけることが肝心です。 そして、乾燥と並行して行いたいのが、見えない敵であるカビへの対策です。湿った木材や壁紙は、カビにとって最高の繁殖場所となります。床がある程度乾いてきたら、消毒用のエタノールスプレーを布に含ませ、床全体や壁の下の方を丁寧に拭き上げましょう。これにより、カビの胞子を殺菌し、繁殖を防ぐことができます。特に、便器と床の隙間や、壁との境界部分は湿気が溜まりやすいため、念入りに行う必要があります。もし床がブカブカと浮いた感じがしたり、変色やシミが消えなかったり、あるいはカビ臭さが取れなかったりした場合は、床材の下地まで水分が浸透し、腐食が始まっている可能性があります。その際は、残念ながら個人の手には負えません。床の張り替えも含め、改めてリフォーム業者などの専門家に相談することを強くお勧めします。トイレの水浸しは、後始末までを一つのセットとして捉え、丁寧に対応することが大切なのです。
災いが去った後に潜むトイレ水浸しの二次被害