もし、あなたが仕事や買い物で家を留守にしている間に、自宅のトイレが水浸しになる事態が発生したら。その時、家にいるのが幼いお子さんや高齢のご両親だけだったとしたら、彼らは一体どう対応すれば良いのでしょうか。突然の異常事態を前に、ただただパニックに陥り、被害が刻一刻と拡大していくのを呆然と見ていることしかできないかもしれません。トイレの水漏れ対策は、自分で対処法を知っておくだけでは不十分です。その知識を家族全員で共有することこそ、真の備えと言えるのです。 まず、家族会議を開いてでも共有すべき最重要情報が「止水栓の場所と閉め方」です。これができなければ、被害の拡大を防ぐことはできません。トイレのタンクの横や床から出ている給水管のバルブを指さし、「もし床が水浸しになったら、とにかくここを時計回りに固く閉めるんだよ」と、実際に家族の目の前でやって見せることが大切です。可能であれば、お子さんや高齢の方にも一度、自分の手で回す練習をしてもらうと良いでしょう。いざという時に、頭で知っていることと、実際に体が動くことの間には大きな差があるからです。 次に準備しておきたいのが、緊急連絡先の明示です。パニック状態では、信頼できる水道業者の連絡先を落ち着いて探すことなどできません。賃貸物件であれば管理会社の電話番号、持ち家であれば懇意にしている、あるいは事前に調べておいた水道業者の連絡先を、トイレの壁など誰の目にもつく場所に貼っておきましょう。「水が漏れたら、止水栓を閉めて、ここに電話して」というシンプルな指示が、家族を正しい行動へと導きます。 あわせて、「絶対にやってはいけないこと」を伝えておくのも重要です。特に、詰まりが原因で水が溢れている時に、焦って何度も水を流そうとするのは最もやりがちな失敗です。また、ウォシュレット周りが水浸しになっている時に、濡れた手で電源プラグに触ろうとする危険性も考えられます。こうした禁止事項を明確に伝えておくだけで、二次被害や感電といった最悪の事態を防ぐことができます。たった数分の情報共有が、あなたの大切な家族と住まいを、予期せぬ水害から守るための最も有効な防災訓練となるのです。