長年マンションの管理員を務めていると、住人の方々からトイレの詰まりに関する相談を頻繁に受けますが、その原因を深く掘り下げていくと、現代ならではの意外な背景が見えてきます。多くの人が「トイレットペーパーならどれだけ流しても大丈夫」という過信を抱いていますが、これがトラブルの元凶です。特に最近のマンションは節水性能が非常に高く、小洗浄のボタンで済ませてしまう方が多いのですが、トイレットペーパーを数メートル使った後で小洗浄を行うと、水流が弱すぎて紙が便器の出口付近で止まってしまいます。それが何回か繰り返されることで、管の中で大きな紙の壁が出来上がってしまうのです。また、コロナ禍以降、自宅で過ごす時間が増えたことで、トイレットペーパーの消費量が増え、それに比例して詰まりの発生件数も明らかに増加しました。興味深いのは、特定の階や系統で詰まりが集中することがある点です。例えば、排水管の合流地点に近い住戸では、上階から流れてきた紙が一時的に停滞しやすく、そこへ自室の紙を流すとダブルパンチで詰まってしまうことがあります。管理員としてアドバイスしているのは、どんなに高性能なトイレでも「大」と「小」の使い分けを正しく行い、紙を多く使ったときは必ず「大」で流すこと、そして可能であれば二回に分けて流すという一手間です。また、最近の流行である「厚手で香り付き」のトイレットペーパーは、水に溶けるまでの時間が一般的なものより長くかかる傾向にあります。おしゃれさや快適さを追求するあまり、マンションの排水インフラに負荷をかけていることに気づいていない住人は多いです。私はトラブルが起きた際、ただ業者を呼ぶだけでなく、その原因を住人と共に確認し、今後の使い方を提案するようにしています。マンションは一つの大きな配管で皆が繋がっている共同体ですから、一人一人が「流すマナー」を守ることが、建物全体の資産価値を守ることにも繋がるのだと伝え続けています。
マンション管理人が語るトイレットペーパー詰まりの意外な原因