それは平穏な日曜日の午後のことでしたが、キッチンで食器を洗っている最中に突然レバーが効かなくなり、勢いよく水が流れ続けるという事態に見舞われました。蛇口をいくら操作しても水は止まる気配を見せず、排水口が飲み込みきれないほどの水量に私は完全にパニックに陥りました。すぐにでも水を止めなければならないと思いましたが、その時に初めて自分がいわゆる止水栓の場所を全く知らないことに気付かされたのです。慌ててスマートフォンで検索を始め、キッチン周りのどこかに水を遮断する弁があるはずだと知り、シンク下の収納を必死に片付けました。詰め込まれていた鍋や洗剤をすべて取り出した奥に、壁から伸びる二本の細い管が見え、そこについている小さなハンドルを右に回すと、ようやく激しい水の音が止まりました。この経験から学んだのは、止水栓は必ずしも目に見える場所に露出しているわけではなく、むしろ普段は意識されないデッドスペースに隠されているということです。キッチンの止水栓は多くの場合、シンク下の奥深く、あるいは引き出しを完全に取り外したさらに背面に隠れていることさえあります。また、お湯と水のそれぞれに栓があるため、どちらか一方だけを閉めても完全には止まらない場合があることも知りました。今回の騒動を機に、私は家中の止水栓を点検することにしました。トイレの止水栓はタンクの横に見つかりましたが、洗面所はやはり収納棚の奥にありました。さらに驚いたのは、浴室の蛇口の止水栓が壁との接合部にある小さなネジ穴のような形をしていたことです。これはマイナスドライバーがなければ操作できない仕組みになっており、有事の際に道具が手元になければ手も足も出ないところでした。もし屋内の個別止水栓を見つけられなかったり、あるいはそこ自体から水が漏れていたりする場合は、家全体の元栓を閉める必要があります。私の住むマンションでは玄関ドアの外にある鉄扉の中にメーターと共に設置されていました。もしあの時、シンク下の止水栓が固着して回らなかったら、私は外の元栓まで走り出さなければならなかったでしょう。水トラブルは時間との戦いであり、一分一秒が床下の浸水被害を左右します。この日以来、私は引っ越しをした友人や家族に対して、まず最初に教えるのは近所の美味しいお店ではなく、その家の止水栓がどこにあるかを確認することだと言い切るようになりました。備えあれば憂いなしという言葉をこれほど身に染みて感じた日はありません。